『できない私が、くり返す。』と『生命のスペア』の対比雑記

 『生命のスペア』の情報が公開された時から、「興味あるけど雰囲気が『できない私が、くり返す。』に似てるから模倣に留まってしまうのでは」みたいな感覚を勝手に抱いていた(正確には「そこからどう逸脱するのか」に興味があったのかも知れない)。

 結果を言えば、この二作品は似た雰囲気を持ちながらも対照的だったという感想を抱いた。『生命のスペア』は比較的二次元的二次元作品で、『できない私が、くり返す。』は三次元的二次元作品という感じ。

 『生命のスペア』では、恵璃が「竜次のことを純粋な意味で愛していないのではないか。自分の不安を和らげるために自分の側に置いているのではないか」と悩み、竜次はそれに対して「どんな形でも君が僕を求めてくれたのなら、僕はそれに応えたい」と返した。

 『できない私が、くり返す。』では、詩乃が陸に「あなたは私じゃない誰かを私に投影して私と恋愛している」と言い、陸はそれに対して明確に反論できず破局する。そしてその後、時間逆行を用いて今度こそほんとうの意味で詩乃と向き合おうと決意をする。

 上記の『できない私が、くり返す。』で詩乃が拒絶した「本当の意味で相手を好いていない」という問題を、『生命のスペア』では竜次が受容しているという点で、二作品が対照的だと感じた(自分としては詩乃の拒絶した「好きな人に他の何かを投影すること」が「相手を好いていない」には繋がらないのだが、それはまた別の話なので割愛)。

 他にも細々した点で対照的に感じる部分はあった気がするがとりあえず主だった部分は上記のものなのでこれについては以上。

 これ以外にも、『できない私が、くり返す。』から『生命のスペア』に継承されていた点があったのでそれについて。

 漣

「先にある未来が変わらないのであれば、

 そこに辿りついてしまうまでの日々を、

 懸命に生きていくべきじゃないのかな――ってね」

 

「懸命に、生きていく……」

 

「要するに、後悔しないように生きましょう、ってことさ」

 

――『できない私が、くり返す。』

 

 恵璃

「一度この病気になったら、

 あとは悔いなく生きてくださいって言われてる気分」

「まあ、そう言われたからこそ、

 私は全力で従ってる状態なんだけどね」

 

竜次

「後悔、ないか?」

 

恵璃

「愛する人と一緒にいられて、何を後悔しろって言うのさ」

 

――『生命のスペア』

 

 『できない私が、くり返す。』の主たるメッセージのひとつ、「後悔せずに生きましょう」を『生命のスペア』に引き継がれている。『できない私が、くり返す。』をプレイしたのがまだ最近というのもあって色々と感じる部分があった。ただ、後悔なく全力で生きても、限られた時間の中では悔いは残るよなあと思った。そういうのもあって、二次元的ではなく比較的二次元的と表記したわけです。

 

とりあえず以上です。